人は生き存えなければいけない生き物であるというのは,とても酷な十字架だ。生きるほどに痕は増えていく。すべてをフォーマットしてしまえるものなら,どれほど楽なものか。もし,すべてがデータでしかないワイヤードで生きることができたら,その十字架を下ろすことができるかもしれない。
ウェブルート社は2日,ファイル&ディスククリーンアップ・ユーティリティ『マックウォッシャー』を発表した。数々の賞を受けた『ウインドウ・ウォッシャー』のマック版。ブラウザのキャッシュ,クッキー,履歴の洗浄や,テンポラリーファイルの削除を行なう。また,削除したファイルに最大10回まで上書きし,どんなユーティリティーでも復旧できないようにする,国防省の基準を超えた強力なディスク漂白機能もある。
パソコンは使うと,OS上にどんどんと痕(キズ)がついていく。マックでもブラウザの情報はもちろん,試用したシェアウェアの初期設定ファイルや,アプリケーションを削除しても残っているシステムファイルや機能拡張などなど。最近はスパムメールでユーザーのPCにクッキーを植え付け,ウェブサーフィンの時にブラウザの履歴などの情報を取得し,メールアドレスと結びつけるなんてことができることも報じられているし…(ZDNet Newsの記事)
心の痕跡を消すには時間がかかるが,ディスクは物理フォーマットして,すべてのセクタに“0”を書き込んでしまえばいい。もしかしたら,人間は,自分の心もそうしてしまいたいのかもしれない。リセットする,フォーマットする,その時に感じる快感。ワイヤード上に人間が活動するようになったら,それも可能になるのか。心のどこかで,私たちはそれを望んでいて,だからこそ,ネットワークが発達しているのかもしれない,ネ。
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